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喘ぐなら、彼の腕の中で
第12章 心の傷
「……っ 莉央…!」
官能的なキスの間に、足を広げられる。
それでもなんとか快感を抑えて、莉央の頬に手をあてた。
「嫌なの」
「何が?」
「莉央が私以外の……他の女を抱くのが……」
声が震える。
莉央は少しだけ沈黙してから、私の手を外した。
「1人の女に絞ることは無い。
言ったはずだけど」
「……っ わ、私でも?」
「……誰でも同じだ」
莉央の目も声も、どんどん冷たくなってくる。
……苦しいな……
ほんの少しだけ、もしかしたら心を開いてくれるかもって思ってたけど、単なる自惚れだったんだ。
頑なに守っている彼の鉄壁は、やっぱり私じゃ崩せないのかな。
……でも
私は面倒な女で
負けず嫌いでしつこい性格だってことは、莉央が1番よく知ってるはず。
「莉央…」
「マジでいい加減にしろ。
これ以上喋るならすぐ突っ込むぞ」
莉央は溜息をついて私を睨みつけた。

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