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喘ぐなら、彼の腕の中で
第12章 心の傷

莉央が私の両腕をテーブルに押さえつけた。
その強さと衝撃で、一瞬で体が固まる。
「……俺は、誰も愛せない」
「………!」
「沙月の言う通り、心が無いんだ。
人の気持ちが分からない」
………莉央………
呆然として、莉央を見つめる。
莉央は私から目を逸らしたままだ。
その肩が、僅かに震えている。
「………っ」
……莉央、ごめんね。
本当は、これ以上あなたの領域に踏みこんではいけないんだよね。
だけど
心が無いと言ったあなたから
胸が締め付けられるほどの、強い想いが伝わってくる。
今まで莉央が隠していた、弱さや、痛み……悲しさや寂しさ
そして
その言葉の、本当の意味が………

