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喘ぐなら、彼の腕の中で
第16章 先手必勝


─── 昨日。

資料室から戻った莉央を待ち受けていたのは、後輩くんがトチった仕事の残骸処理。

私が夜の9時にパソコンの電源を落とした時も、パーテーションの向こうでギャーギャー盛り上がってたから
あれは絶対まだまだかかるなって思ってた。


「ってことは、今おひとりですね?♡」
『………』


だめだ~顔がニヤけちゃう。

何でも快感に変えるドM女が待っていたとしても、営業のエースが仕事を投げ出すわけがない。

てゆーか、最初から他の女を抱く気なんてなかったんじゃないかしら?

って私、一体どこからこんな自信が生まれるのかな♪

まぁいいや、この良い流れに乗っていこう!


「ってことで。
部屋の中に入れていただけませんか?」


最大限の笑顔を見せて、低姿勢でお願いしてみる。

だけど


『嫌です。お引き取りください』


凄く冷たい声が返ってきた。


『俺、まともな事言ってると思うぜ』


……はぁ。
やっぱりダメか。

溜息をついたけど、すぐに気を取り直す。


仕方ない。

─── プランA始動。



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