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喘ぐなら、彼の腕の中で
第16章 先手必勝


「……そう。残念だわ」

『ご苦労さん。
自分のストーカー行為をよく反省してくれ』


肩を落として項垂れると、莉央の安心した声が返ってくる。
それでも私はもう一度背筋を伸ばした。


「莉央の為を思って、プランBは使いたくなかったけど
仕方ないわよね」

『……は?』


バッグの中に手を入れて、ひとつの封筒を取り出す。

キャラクター達でデコレーションされたフレームが可愛い、A5サイズの1枚を抜くと
カメラのレンズに向けて、惜しげもなくその写真を披露した。


「はい、後ろから2番目の男にご注目ください」

『………!!』

「この恐怖の表情もさることながら、彼の左手にご注目。
……私の右腕に、必死にしがみついちゃって………ぶっ///」


や、やば……
面白すぎて、言ってる途中で吹きだしてしまった。

だって絶叫系が苦手とはいえ、ここまでとは思ってなかったから。

何度見ても強烈な笑いが………


『~~沙月!!
てめぇそこから1歩も動くんじゃねーぞ!!』


怒声と共に、ブチッと通話を切る音が響いて

マンション共有ロビー入口の、自動ドアが開いた。




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