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喘ぐなら、彼の腕の中で
第16章 先手必勝


「ふふふ。すごい効力。
こんなにも早く役立つ時が来るとは」


ロビー中央の共用ソファに腰掛けて1人、握った写真をウットリと眺める。

本当は切り札として取っておきたかったけど、あの様子だとこれから何度でも使えそうだ。

それにしても、本当に傑作……


「……脅迫罪で告訴するぞ」

「………!」


20分と経っていないんじゃないだろうか。

振り返ると、ものすごい怒りのオーラを背負った男が私を見下ろしていた。

私はニッコリと笑ってソファのスペースを空ける。


「早かったね♡
相変わらず素敵な私服♪」


普段よりハードに固めたヘアスタイルに、お洒落メガネ。

男なのに、ショッキングピンクとグレイ色のTシャツ、敢えて重ね着しちゃいます?

だけど、ロールアップしたスキニーのブラックデニムに良く映えてカッコイイ。

完全に出掛ける格好。
流石良く分かってるわ♪


「……てめぇ」


莉央はソファには座らず、私の手の中の写真を睨みつけた。




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