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喘ぐなら、彼の腕の中で
第16章 先手必勝


叫んだと同時にパンプスを脱いで、ずんずん中へと進んでいく。
ここには久しぶりに来たけど、相変わらず屋敷と呼ぶに相応しい広さだ。

小さい頃何度も泊まったことのある、この家のリビングはすぐ分かる。

ショートブーツを脱ぎ終わった莉央が後ろから近付いてきて
私達は並んでドアを開けた。


「お、来たか」


縦長に続くリビングの先の、無垢のダイニングテーブル。
端の席に座った翔ちゃんが手を上げた。


「……!!」

「意外と早かったな、俺さっき来たばかりだよ。
道空いてた?」

「莉央がすごい飛ばすもんだから。
機嫌悪いと運転も荒いのよね」


それな、と言った翔ちゃんは昼間からビールを飲んでいる。

私の後ろで、莉央が明らかに動揺している様子が分かった。


「な、なんで兄貴がここに…」

「沙月に指示された集合場所がここだったから」

「はぁ!? お前、何考えて……」


莉央が私の肩をぐいっと引っ張った時


「あら~? もしかして沙月ちゃん!?」




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