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喘ぐなら、彼の腕の中で
第16章 先手必勝

「うるさいわねバカ息子」
私から体を離すと、おばさんは翔ちゃんのグラスに残りのビールを注いだ。
「翔太、あんたこの1本で終わりにしなさいよ」
「なんで。俺電車で来たし関係ないけど」
「腹出てるから心配してあげてんの」
「まだ出てねーよ!」
翔ちゃんは大声を出すと、コップをテーブルにガンッと置いた。
………ぷぷぷっ。
気ぃ抜いたら出るし、歳には勝てないってこの前言ってたのに。
おばさんの前だと、30歳の翔ちゃんですら可愛い子供に見えてしまう。
「あんたは相変わらずキープしてるのねぇ」
ビール瓶をキッチンカウンターに置くと、おばさんは二カッと白い歯を見せた。
「莉央、さすが私の一押しイケメン息子♡
でもそのピンクのTシャツ、ちょっと地味じゃない?」
「………」
「それにしても、1年に1回帰ってくるか来ないかのあんたが
正月にも顔見せたのに、一体どーいう風の吹きまわし?」

