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喘ぐなら、彼の腕の中で
第16章 先手必勝

莉央はハァーと大きく溜息をつくと
テーブルの椅子をひいて、翔ちゃんの正面に座った。
「俺が聞きてぇよ。
爆風を吹かせたのはこの女だ」
「………」
「いきなり連れて来られたと思ったら、なぜか兄貴までいやがる。
ワケ分かんねぇ」
莉央はそう言いながら、デニムのポケットから煙草を取り出したけど
「我が家は禁煙です」
口に咥えた途端に、おばさんが奪い取った。
「さっき翔太にも言ったばかりなんだけど。
大体このご時世にまだ吸ってるの?
まったく2人して情けないったら!」
「何を今更。 親父だって吸ってんだろ?
既にこの壁ヤニだらけだろーが」
「いや、さっき聞いたらついに最後の砦も追い出されたらしい。
今は外の庭だけが喫煙所だそうだ」
3人の小気味良い会話が、久しぶりでなんだか心地良い。
おばさんを中心に、昔から面白いんだよな~この親子。
おじさんの姿が見えないけど、今日もお仕事かな?
って、これからのことを考えたら、いないほうが有難いけど……

