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喘ぐなら、彼の腕の中で
第16章 先手必勝

「……重大な報告だと……?」
右隣りに座る莉央が、こちらに体を向けるけど
私は恐ろしくて莉央の顔が見れない。
「10分前に来た翔太に引き続き、突然2人で現れたからびっくりしたけど
莉央と沙月ちゃんが同じ会社だったってこと、母さんすっかり忘れてたわ」
お茶を注ぎながら、おばさんはニコニコと笑う。
私はその笑顔をじっと見つめた。
「2人で休日に遊ぶくらい、今でも仲良しだったのねぇ」
「いや違うし。
今日はこいつがいきなり…」
「そうなんです、おばさん」
莉央の説明を遮って、私はきっぱりと言い放った。
「私と莉央は20年経った今でもすっごく仲良しで。
最近になってさらに親密になったんです」
斜め前に座る翔ちゃんから、ビールグラスを手繰り寄せる。
やっぱり景気付けに1杯注入しておかなきゃ!
「……沙月、お前……」
唖然とする莉央を横目に、私はグイッと残りを飲み干した。

