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喘ぐなら、彼の腕の中で
第17章 この手を、もう一度


……だめ。
感激しすぎてやっぱり泣いちゃう。

おばさんの言葉と笑顔で、涙腺は崩壊寸前。
やっぱり2人のお母さんは最高だ。


……気のせいかな……?

私の隣りに座る莉央は、いつもとは違う感じがして
20年前のあの頃のように、なんだか少年に戻ったように見えてしまう。



「……俺」



莉央は放心したまま呟いた。



「幸せになっていいわけ?」



………!!


「「~~~当たり前だろ!!」」


今度は翔ちゃんと一緒に私も叫ぶ。

この期に及んでまだそんな事言うの!?
どんだけ分厚い壁で覆ってんのよ!

興奮した私と翔ちゃんが再度身を乗り出すと、その間でおばさんが笑った。


「莉央。
幸せになってはいけない人なんていないのよ。
誰かを好きになっていいの」

「……それ……」

「ん?」

「沙月も、俺にそう言ってくれた」

「………!」


……莉央……!

莉央の言葉で、再びきゅうっと胸が苦しくなる。


「まぁそうだったの♡ 
良かったね、莉央」


おばさんは今日1番の笑顔になると
手を伸ばして、莉央の頭をぐりぐりと撫でた。


「愛して、愛されて生きていくのよ。
シンプルだけど難しい。
それでも、人の原点はそこにあると思うの」

「…………」

「莉央。怖がらないで心を開きなさい。
あなたには、本当の想いを受け止めてくれる人がいるから。

………大丈夫よ」




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