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喘ぐなら、彼の腕の中で
第17章 この手を、もう一度


「お前、色んな順番をすっ飛ばしすぎ」


莉央の溜息で、ますます顔を上げられない。


「……仰る通りです」

「こーいうのを、土足で上がり込むって言うんだよ」

「……ごめんなさい」

「つーかお前から言うってどうなの。
俺の立場ねぇだろ」

「………」


正論すぎて、返す言葉も無くなった。

立場以前に莉央の同意も得ず、莉央の気持ちを考えないなんて
そんなの絶対にやっちゃダメなことだよ。


………私ってどうしてこうなんだろう。

恋愛になると後先考えず突っ走るから、いつも後で反省するハメになるんだ。

毎回、学習能力なさすぎでしょ……


「……莉央。
色々と、本当にごめんなさい」


……いや、ちゃんと相手を見て謝ろう。

告白してからここまで、莉央と目線を合わせていないもの。

意を決して顔を上げると、夕陽が眩しくて思わず目を閉じる。

金色の光が、瞼の裏でちかちかと光る中………


「……だけど、兄貴が言った通り
直球入った」

「……?」



風と波の音と共に、響く声。

目を開けて右隣りを見ると



「─── 好きだ」



深い瞳をまっすぐ私に向けて、莉央は静かに続けた。



「好きだよ、沙月」




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