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喘ぐなら、彼の腕の中で
第17章 この手を、もう一度

・・・へ?
莉央か放った一言で、体が固まる。
今、なんて……?
「……なに、その顔」
「……え?」
「何驚いてんだよ。 お前が言ったんだろ」
莉央は表情を変えず、そのままふいっと私から顔を逸らした。
“ それって、私を好きってことなのよ ”
……確かに、あの時
資料室で私はそう言った。
だけど………
「好きかどうかは、分からないって…」
「だからその迷いを吹っ飛ばされたんだよ」
「で、でも、少し待てって私に…」
「そんなの意味ないくらい、接近してきたじゃねぇか」
莉央は近くに落ちていた木の枝で、足の間の砂をガリガリと引っ掻き始める。
ど、どうした……?
子供みたいに落ち着かない様子を、唖然として見つめてしまう。
「……あの時、資料室を出た時点で。
ガードを張ったのが無駄だったと、すぐに気付いた。
他の女を抱く気なんて無くなっていたんだ」
「………!」
「……それでも、俺は……
お前の真っ直ぐな想いに応えられるか不安で、一歩を踏み出す勇気がなかった。
幸せになる資格は無いと思ってたし。
………だけど」

