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喘ぐなら、彼の腕の中で
第20章 2人の始まり

「………宮本さん」
ハッと我に返って右隣りに目を向けると
契約書を手にぷるぷると震えた木村が、俺をうるんだ瞳で見つめていた。
そして、すぐさま満面の笑みで椅子ごと近付いてくる。
「わぁ~~俺今見ちゃいましたよ~~!
宮本さんの珍しい表情見ちゃいました~~!」
「うるせぇな!!
朝っぱらから叫ぶなボケ!」
「もしかして、もしかしなくても宮本さんも好きなんですね!?」
「好きじゃねぇよ!」
「いや好きですよ。
だって今すごく優しい眼差しで……しかも微笑んでいましたもん!」
「~~~っ」
興奮する木村から契約書をひったくると
パーテーションの向こう側からガタッと音がして
口元を押さえた沙月が立ち上がり、もう片方の手でグッと親指を突き上げた。
「……!!」
〜〜あの女!!
昨日の昼間まで散々イかせてやったのに、いい度胸してんなおい!
そのデスクの引出しに入っている弱みさえなければ……!
舌打ちをして睨みつけたけど
沙月は平然として座り直し、パーテーションの裏に消えた。

