この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
喘ぐなら、彼の腕の中で
第22章 ★清算済み

ちっくしょぉ~~
記念すべき清算第1号が、まさか芸能界の住人だったとは!
数年前は確かモデルだった彼女が、超有名俳優と噂があったのも記憶に新しい。
俳優が別の女性と結婚した後、分かりやすく落ちぶれて消えかけたのに
ある時からみるみる復活して、今では女優として不動の地位にまで……
「その陰の立役者が、まさか普通のサラリーマンだなんて!
女優をふった俳優が知ったら、さぞ驚くでしょうね!」
テレビ局を横目に睨みながら、海に沿ったウッドデッキの遊歩道を歩く。
人工の砂浜が反対側に広がり、心地良い初夏の風が吹き抜ける。
「何カリカリしてんだよ。
俺のデスクの中、もう既に4匹…」
「7匹です!!」
左手はパー・右手はチョキ!
莉央の正面に回り込んで、その数を提示する。
「日替わり定食だったんじゃないの!
このままだとメインキャラクターの彼らまで買わなきゃいけないかと……」
「はいはい、悪かったよ。
でももう終わったから」
「本当に!?」
「あぁ、全て清算済み」
女優を見上げた時とは、比べ物にならない極上の微笑みを浮かべて
莉央はふわっと私の手を包んだ。
「俺はもう沙月だけのものだ。
この先も、ずっと」

