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喘ぐなら、彼の腕の中で
第4章 疼く体


なに……言ってるの?


ネクタイを締める姿を、放心したまま見つめることしかできなくて
そんな私に気付いた莉央が、ふっと笑った。


……背筋が凍るくらい、目が冷たい。


「寸止めして悪いけど。
このまま続けたら、俺が沙月を無理矢理襲ってることになるだろ?」

「……!」

「傷つけることはしたくないんだ。
お前が極上の快感に身を委ねなければ、意味がない」


頭を優しく撫でられて、震えが全身を貫いた。


……表面的には、私を気遣う言葉に聞こえるけど
酷く突き放されたような、非難を浴びたような気分に陥る。


「寂しさを忘れたいなら
ちゃんと好きな相手を想わないとだめだ」


莉央は私のおでこに軽くキスをすると、もう一度微笑んだ。


「お前の心が芹澤を求めれば求めるほど、俺もお前も気持ちよくなれる」

「……っ」

「次の恋愛までの穴埋め程度に考えればいい。
悦楽の世界に浸ってみろよ」

「………」


「心配するな、ちゃんと解毒剤も用意してるから。

やめたくなったらやめられる、安全なドラッグだ」





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