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喘ぐなら、彼の腕の中で
第4章 疼く体


芹澤さんはカバンの中に書類をしまい、ジャケットを羽織った。


「……っ 芹澤さん…」
「でも、無理はしたらダメだからね」


……今朝は延期って言ってたのに。

急にどうして?
思い直してくれたの?


突然予定を変更してくれた理由が分からないけど

芹澤さんが優しく笑ってくれたから
今夜逢えるってことが素直に嬉しくて、私は小さく頷いた。


「大丈夫です。連絡お待ちしています」
「うん、じゃあ後で」


出口に向かう後ろ姿を見つめながら、ホッと肩をなで下ろした。


……良かった。
気付かれてない。


安心したのはいいけど

私の頭の中では、あの男の言葉が繰り返されていて
指の感触がまだ体を蝕んでいるようで

せっかく終日デスクワークができる日にしていたのに、仕事どころではなかった。


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