この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
喘ぐなら、彼の腕の中で
第6章 ベストを尽くせ

「沙月? どうかした?」
無言のままの私の顔を、亜美が覗き込んだ。
慌てて笑顔を作る。
「ごめん、何でもない。
楽しい旅行だったみたいで良かったね」
「ここまではね、1泊めの話なの。
次の日は温泉街を歩いたんだけど……」
〜〜まだ続くの!?
ご丁寧に夜の営みまで曝け出されて、げんなりしてるっていうのに。
ていうか私の前では話をしないように気を付けるって、この前言ってませんでしたっけ?
「あーごめん、亜美」
膝の上に広げた、カフェのテイクアウトの包みを丸めると
ワザとらしく腕時計に目をやった。
「私、午後一で外出しなきゃいけないんだ。
今夜オープンする、新店舗のイベント準備があって」
嘘ではない。
もうすぐ1時になるし、そろそろデスクに戻らなきゃ。
「そっかー残念。
ここからが面白い話なのにな~」
「………」
「芹澤さんのお茶目な一面があってね。
すっごく可愛いの♡ 続きはまた来週話すね!」
お弁当をランチバッグにしまいながら、ベンチから立ち上がると
私を見上げて亜美がニコリと笑った。
「準備は大変だと思うけど、頑張ってね♡」
「……うん、ありがとう」
「沙月がディスプレイするショーウィンドウ、いつも素敵だから
あたし大好きだよ♪」

