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喘ぐなら、彼の腕の中で
第6章 ベストを尽くせ

亜美の総務課は、私のフロアのひとつ下の階。
エレベーターの中で亜美と別れ、通路に出て1人になると
お昼休憩だったというのに、肩にどっと疲れがのしかかった。
「……ずるいよなぁ、あれは」
どんなに私がブリッコしたところで、あんなに可愛い笑顔は作れない。
……ずるいを通り越して、羨ましい。
女の私でも守りたくなっちゃうもん。
……本命の彼女として選ぶなら、迷わず……
「おい、邪魔」
フロアの扉に手をかけたまま、項垂れていた私の後ろから
突如、冷たい低い声が降ってきた。
「ボケッとしてんじゃねぇよ。
入らないならどけ。アホ」
「………」
「ちょっと宮本さん! 口悪過ぎですって」
ゆっくり振り返ると、後輩くんが焦るその横で
ポーカーフェイスの莉央が、私を見下ろしていた。
「すみません綾瀬さん。
この方のイケメンに免じて、暴言を許してくださいね」
後輩くん。君じゃなくて。
……莉央、あんたが謝りなさいよ。

