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喘ぐなら、彼の腕の中で
第6章 ベストを尽くせ
電話を切った莉央。
心臓が壊れたようにバクバクと鳴り響く。
「……名古屋から車でなんて…」
「問題ない。先方の手配ミスだろ。
手間代も上乗せしてガッツリ請求してやればいい」
「そ、そうじゃなくて……」
「この運送屋は丁寧に仕事するから心配すんな。
俺もよくモデルルームの配送で利用するけど、破損した事は一度も無い」
……違うよ、莉央。
お金の心配でも、配送業者さんを信用していないわけでもなくて……
「今、もう午後の1時過ぎてる……」
地理上詳しくは分からないけど
名古屋から東京なんて、普通で考えたら5、6時間はかかるんじゃ……
「行楽気分で運転してりゃ、間に合わねぇだろうけど」
放心する私と対照的に、彼は笑っている。
「道を熟知してる奴が飛ばせば、4時間ってとこじゃねーの。
信頼を築いてる俺の依頼なら、この運搬の人間達はガチでやるよ」
吸い込まれそうな瞳。
莉央が真っ直ぐ私を見た。
「綾瀬、リミットは1時間だ」
「……!」
「お前は7時までの1時間で、組み立てと飾りを完成させる事だけを考えろ。
什器は必ず6時までに届けさせる」
「……っ」
「俺が責任持って追ってやるから、心配するな」

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