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喘ぐなら、彼の腕の中で
第7章 涙


胸が熱くなって、きゅうっと心臓が締め付けられる。


「全然遅れてないよ…!」


お店から見られないように、体を車道側に向けた。


「途中事故渋滞があったはずなのに、ドライバーの人がお店に着いたの5時半だったの。
荷降ろしから設置まで手伝ってくれて…」

『沙月が美人だったから、ついサービスしちまったって言ってたよ。
ハグでもしてやりゃ、他にも色々頼めたのに』

「………!///
コ、コーヒーとカフェの軽食しかお礼できなかった」

『あぁ、それも喜んでた』


突然長距離運転をさせられた、ドライバーのお兄さんも

勤務時間を延長して組立てをしてくれた、什器会社のおじさんも

オープンギリギリまで、ディスプレイの位置を確認していた、店長の女の子も


誰1人として文句を言わずに、笑顔のままショーウィンドウを作り上げてくれた。

そのお陰で、予想を遥かに超えた素敵な出来栄えになった。



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