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喘ぐなら、彼の腕の中で
第7章 涙

“ 俺に逢いたいんだろ ”
……聞いてきたってことは、私がそう思ってるって気付いてるんだ。
悔しいけど、昼間莉央に背中を押された時からずっと
莉央のことばかり考えて、彼の姿が頭に浮かんでた。
今日だけでほんの僅かだけど、私が自分の心境の変化に戸惑っているように
莉央にも少なからず、同じ感情が生まれてきたのだろうか……?
「……まさかね」
すぐに訂正した。
絶対ありえない。
私が莉央に恋心を抱かないのと同じで、莉央が私を愛することなんてまず無いだろう。
大人になった今、不本意ながら割り切りの関係になったとはいえ
─── あの日以来
ずっと私に触れなかった “ 私が知らない理由 ” が、彼の奥底にあるんだから……
過去の記憶を頭の中から消して
お店の中に戻ろうとした……その時だった。
「沙月」

