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喘ぐなら、彼の腕の中で
第7章 涙

穏やかな声がした方へ、顔を上げると……
「会社から電話?」
「……!」
「なにかトラブルでもあった?」
お披露目会に参加していた芹澤さんが、微笑みながら近付いてきた。
現場仕事で私服が多い彼の、珍しいスーツ姿。
スラッした体によく似合ってる。
「い、いえ、何も。大丈夫です」
「そっか、良かった」
私のすぐ隣りに並んだ芹澤さん。
視線の先にはショーウィンドウ。
……外でこんなに寄り添うのは、久しぶり。
「間に合って良かったね。
新宿店の什器は必要無かったな」
「……!ごめんなさい!
せっかく代替えとして段取りしてくれたのに」
「いいよ、こんなに素敵な仕上がりになったんだ。
やっぱり沙月はセンスがあるね」
優しく私を褒める言葉。
………ドキンドキンと、心臓の音が響く。

