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喘ぐなら、彼の腕の中で
第7章 涙

カフェから軽快な音楽が聞こえてきて
イベントは大盛況で、楽しそうな様子が伝わってくる。
このプレオープンの成功にあやかって
私の想いが、彼に届いてくれないだろうか………
「 “ 綾瀬 ” 」
「………!」
芹澤さんの低い声に、体がビクッと震えた。
「ごめんね。
俺は、亜美と別れることはできない」
私を見る優しい瞳の色が消えた。
そして
穏やかだけど、心の芯まで凍りそうな冷たい声。
「亜美はとても弱い子なんだよ。
沙月みたいに強くないから、寂しいと泣いてしまうんだ」
「……っ」
「だから、亜美が笑っていられるように
俺は亜美の傍にもいてやりたいんだ」
私の目から
涙は出てこない。
「綾瀬が、俺のことを凄く愛してくれる気持ちもよく分かるから。
俺も俺なりにその想いに応えたかったんだけど
………ごめんね」

