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喘ぐなら、彼の腕の中で
第7章 涙

マスターが静かに裏口から出て行った音が聞こえたけど
「……っ」
目に溢れてくる涙で、何も見えなくなってしまった。
「……っ だから……泣いてないって言ってるでしょ!?
私は亜美と違って、弱くないんだから……」
芹澤さんの言葉を置き換えて口にすると
彼が今まで、私の何を見てくれていたんだろうって思ってしまう。
だって、芹澤さんの言う通り私が強い女なら
今の私は一体何なんだろう。
「……あの子が…!
亜美がもっと嫌な奴だったら良かったのに」
「……」
「私の同期じゃなくて、私の応援もしなくて
私のことが大嫌いって突き離すような女だったら
そしたら、遠慮なく芹澤さんを奪ったのに……!」
莉央は黙ったまま私を見つめている。
……もう終わったことなのに
私、1人で何を喚いているのかな。
だけど、どうせ心の無い莉央だ。
この男に、何を言ってもいい。
どう思われようと構わない。

