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水は低きに流れる
第2章 嫌がらなくて
次の日。

岩崎さんは仕事帰りだから晩御飯は食べてないだろうと私は2人分の晩御飯を作っていた。


「あっ!」


手が滑ってケチャップがTシャツにべったりと付いてしまった。


「うわぁ・・・最悪だ」


Tシャツを脱いで洗濯機に入れてると、なんか汗臭い気がしてきた。

今日は仕事中、倉庫の整理とかさせられたのを思い出す。

しかたなくシャワーを浴びて、部屋着に着替えた。

別に岩崎さんもあんだけのイケメンなんだし、私なんか相手にしないだろうから、すっぴんだって気にもしないだろう。

髪をドラーヤーで乾かしている時に玄関のチャイムが鳴った。


「はーい」

「おじゃま。え?お前、風呂入ってたの?何、期待してんの?!」


ドアを開けて私を見るなり失礼なことを言う。


「んなわけないです。今日、倉庫の片付けさせられて汗臭かったからシャワーだけ浴びたんです」
「良かった、何か期待されてるかと思った」
「心配しなくても何にもないですから」
「だよなぁ、お前とはないわな」

軽く傷つきますけどね。

「お、オムライスか?ちょうど食いたかったんだよ」

そういう言葉は素直に嬉しい。

1人でご飯を食べるよりは誰かと食べた方がいい。

それは離婚していつも思ってた。


広めのキッチンで岩崎さんは椅子に座ってポケットからスマホと鍵を出してテーブルに置くと、胸ポケットを触ってから、私を見上げた。


「あ、タバコ切らした」
「ちょうどいいから禁煙すればいいじゃないですか?」
「タバコ切れた」
「・・・、それは私に買いに行けと?」
「他に誰が?」
「・・・やですよ」
「行けよ」
「う・・・」


どうせ断れないの分かってるんだろう。

数分後、私は自転車で近くのタバコの自販機へ向かっていた。

「あ・・・」

自販機にお金を入れようとして気がついた。

タスポ持ってない!

となるとコンビニか・・・ちょっと距離あるんだけどな。
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