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水は低きに流れる
第1章 断われなくて
「わ、忘れ物とか?取りに行くのに寄ってほしいってこと?」
いや、沈黙って!
「何?ラブホの探検?」
車内にエンジン音だけが響く。
そっと隣のミサちゃんの顔を伺う。
下を向いているから表情は分かりにくいけど、私の手を握る手が少し震えている。
「お願い・・・愛美ちゃんしか頼める人いないの」
「え?」
ミサちゃんが今にも泣きそうな声で言う。
胸がキュッと締め付けられそう。
「こんなこと愛美ちゃんにしか頼めないんだ」
「え?」
ヒデさんも苦しそう。
大好きな2人が苦しんでる。
よほどの理由があるんだろう。
「別に・・・構わないけど?」
「無理にとは言わないから」
「大丈夫」
「じゃ・・・場所、移動しようか」
車が店の駐車場を出て国道へ向かった。