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水は低きに流れる
第3章 流されやすくて
「岩崎さん・・・」

「ん?」



思わず腰に手を回して甘えるように抱きしめると大きな手が優しく頭を撫でてくれた。



「お前、誰にでもこんなことさせんなよ」

「しませんよ」

「本当に?」

「誰でもいいわけじゃないんです」



そう言うと、ちょっと嬉しそうに「そうか」と言って抱き寄せてくれた。

そんなとこが私も嬉しいんだけど・・・。



「明日は仕事が遅くなりそうだし、土曜日は用事があるから・・・日曜日は?」



土曜日に他のバイトの子達と飲みに行く約束してた。

私のこと好きとか言いながらも、他の女の子達と飲みに行ったりするってことは、やっぱり本気じゃないんだ。

急に現実的になってしまう。


「空いてます」


あえて土曜日のことは言わないでおこう。



「やっぱ、月曜日の仕事帰りに寄るわ」

「あ・・・」

「ん?」

「いえ。月曜日なら、この荷物持って帰って下さい」

「だからぁ、これはお前専用のだから置いておくの」




私専用という言い方も気になったけど、考えすぎよね。

岩崎さんに対して本気になっちゃいけないって、やっぱり思ってしまう。

私は割り切っているつもりただけど1度結婚して失敗したことを引きずっている。



もうあんな思いはしたくない。

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