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水は低きに流れる
第4章 流されるまま
アルコールはあまり飲んだことがない。

ノンアルコールのカクテルを頼んで2杯目になる頃、岩崎さんの周りはハーレム状態でバイ
トの子達に囲まれていた。

普段話したことのない人達と話せて、楽しいお酒の席だけど、岩崎さんが気になってしまい、つい目で追ってしまう。

会社でもそうだけど、皆がいる前だと目も合わしてくれない。

楽しそうに話している姿を見ると複雑な気持ちになる。


「愛美ちゃん、何飲んでるの?」



営業の20代後半の男の人が隣に座った。

この人、車で来てるとかで、ずっと烏龍茶を飲んでた人だ。

名前は・・・佐藤さん。




「カクテルです」

「そっか、皆は2次会でカラオケに行くって話が出たけど、愛美ちゃんどうする?」

「メンバーは?」

「岩崎君とかバイトの子」

「カラオケは苦手だから帰ります」



カラオケが苦手なのは本当だけど、正直岩崎さんが女の子達に囲まれて楽しそうにしている姿を見るのがちょっと嫌になってた。

居酒屋でこんな気持ちになるんだから、カラオケなんてもっとモヤモヤしてしまうかもしれない。



「ここまでどうやって来たの?」

「散歩がてら歩いてきました」

「あ、だったら、途中まで送ろうか?会社の近くなら結構あるっしょ?」

「平気ですよ」

「途中の道、物騒らしいよ?俺さ、途中で友達迎えに行って帰るんだ。通り道だから送って行くよ」



私が会社の近くってことは知れてるんだな。

時間もまだ早いし、大丈夫かなと思って断った。



「あ、じゃあ私も乗せてって!」

「あれ?2次会は?」

「明日、子供の用事で早いから帰る」


たしか、高校生でデキ婚して小さな子供がいる私より2歳年下の子。

この人も一緒なら大丈夫かな?

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