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水は低きに流れる
第4章 流されるまま
「私、そんなつもりじゃ・・・」

「わかってるよ」


お酒が残ってるのか顔が熱くてドキドキする。

ピッピッ、ガーっ・・・バタンっ。

アキちゃんが助手席を出て背中側のスライドドアを開けて入ってきて、これ以上下がれない様に横に座って腕をそっと掴んだ。


「愛美ちゃん、僕らの事、嫌?」


み、耳元で言わないで!

耳元で囁かれるとぞくぞくしてしまう。


「い、嫌とかじゃなくて・・・」

「んー?」

「ぅんっ!」


耳朶に唇が触れて低く声が響くと体が一気に熱くなった。

ドキドキするのが止まらない。


「耳、弱いんだ」

「や・・・やめて」


少しずつアキちゃんが座る位置をずらして私を前に押し出すように動く。

目の前の佐藤さんが近くなってくる。



「ここで揉めてても人に見られるし、とりあえず中に入ろうか?」

「や、でも・・・」

「いいからいいから、ほら、降りて」

「でも、・・・きゃっ!」



グイッと腰とお尻で押されて私はバランスを崩してシートから落ちそうになった。

それを佐藤さんが受け止めるように抱きしめて腕の中に収まる形になる。

フワッと香水かコロンか柑橘系の香りが鼻を掠めて、その匂いにドキドキし始めた。

さっきから顔が熱くなって、心なしか体も熱い・・・。
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