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水は低きに流れる
第5章 流れを止めて



「お前はどういうつもりなんだ?」


答えることも出来ず、下を向いて唇を噛む。



「どういうつもりかって、聞いてんだよ!」


急に大声になって、ビクッと身体を竦めて顔を上げて岩崎さんを見る。

岩崎さんがどういう答えを求めているのか確かめるのが怖い。



「佐藤が好きなの?」



首を大きく横に振る。



「好きでもないのにホテルに行ったわけ?」

「ごめんなさい・・・」

「謝ってほしいわけじゃない」



岩崎さんの手が伸びてきて思わず体を固くして目を瞑った。

大きな腕の中にすっぽりと収まるように優しく抱きしめられた。

こんなに近くて心臓がうるさいくらいドキドキいっている。



「俺の事嫌い?」


岩崎さんを見ることが出来ない私の顔を覗きこんできた。

息がかかるくらい顔が近い・・・

首を横に振る。



「・・・好きです」

「本当?」



コクンと頷くと少しだけクスッと岩崎さんが笑った。

唇が少し触れて、食むように何度も振れては離れる。

どこまで話を聞いてるのか分からないけど、それでも岩崎さんは私の事が好きで、私も岩崎さんのことがやっぱり好きで気持ちが通じあった。




そう思った。

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