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私の中のおっさん
第1章 巨人女から 叔父様との関係を強要されて――
巨人女――菊に頭上で両腕を拘束され。
その上 自分を助けようとしてくれている叔父に伸し掛かられ、全く身動きが取れぬ状況で。
わたくしは上から覗き込んでくる男の顔を、必死に見上げていた。
(わたくし……このまま、叔父様と、してしまうの……?)
親族なのに。
叔父と姪なのに。
こんな状況下とはいえ、
犯してはならぬ罪を、共有してしまっては、
いざ “自分達の世界” へ戻れたとしても、
果たして2人の関係性は、元通りになれるのだろうか――?
余程 わたくしの表情が、悲壮なものだったのか。
叔父は垂れ目気味の瞳を細めると、何故かわたくしの頭を大きな掌で撫で始めた。
「ねね……、キスは?」
「え……?」
「キス、したことある?」
叔父からのまさかの問いに、わたくしは馬鹿正直に答えていた。
「……な、ないです……」
だって、異性とお付き合いしたこと、無いのよ?
手だって繋いだ事も無いのに、口付けだなんて。
まるで宇宙の彼方の出来事の様に、わたくしには遠い行為。
「そうか。じゃあ、ファーストキスは、好きな男の為に、取って置きなさい」
多分、叔父は精一杯の気遣いで、そう口にしたのだろうけれども。
「………………」
何故か胸の奥に、ぽっかりと穴が開いて。
白タオルの上、大人しくなったわたくしに、叔父は端正な顔を寄せてきた。
初めに唇を感じたのは、おでこ。
眉間、こめかみ、頬骨の上……。
たまに からかうように、ちょんと鼻のてっぺんを啄まれて。
こんな状況なのに、わたくしはきょとんと叔父を見上げてしまった。
「ねね、リラックス」
視界いっぱいに、叔父の顔があった。
ふわりと微笑まれると、その柔さに心が解きほぐれる感じがして。
無意識に寄せていた眉間から、すっと力が抜けた途端。
「ひゃっ ……、え……? あっ ……っ」
首筋に感じたねっとりした感触に、勝手に唇から漏れた声。