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私の中のおっさん
第1章 巨人女から 叔父様との関係を強要されて――



 解ってはいるの。

 叔父にとっての わたくしは、

 何時まで経っても乳臭い、単なるガキでしか無い事は。

 ううん、それだけじゃない。

 例えわたくしが、これからどれだけ年を重ねたとしても、

 決して叔父の恋愛対象になる事は無い。

 そう、解ってはいるの。

 でも、だからと言って――



「お、叔父様……」

「ん?」

 逞しい胸の中で、おずおずと声を上げたわたくし。

「わ……、わたくしの、初恋の相手、は……」

「相手は?」

 何故か抱擁の手を緩める叔父に、わたくしは必死に縋り付く。

 こんな事、叔父の顔を見て、目を見てなんて、

 絶対に言えやしないから。

「お、叔父様……です。だから……」

「え……?」

 予想外の初恋の相手に、叔父は驚きの声を上げる。

 けれど、どうもその反応からは、

 わたくしが伝えたかった事は、1mmも解かっていないようで。

「だからぁ~~。叔父様がそんなに「ごめん」て謝ってばっかりだと、ねねちゃん、哀しいって。ね?」

 まさかまさか。

 わたくしの気持ちを的確に理解したのは、他でも無い菊だった。

 こんな状況に追い込まれる起因を作った巨人。

 ずっと興味本位で、叔父姪の関係性を囃し立てていた女。

「………………」

 思わず、叔父の腕の隙間から、覗き込んでくる菊を見上げた わたくし。

 「でしょ?」と首を傾げる菊に、わたくしはこくりと頷いていた。



 わたくしの初めて。

 わたくしが女になる瞬間。

 「ごめん」と謝られながら、破瓜の血を滲ませるなんて、そんなのは嫌だった。

 それよりかは嘘でもいいから「好きだよ」「愛しているよ」と囁かれながら処女を奪われる方が、

 今のわたくしにとっては、救いがあった。



「ねね……。じゃあ、今だけは、私は自惚れるよ?」

 耳に吹き込まれたのは、叔父の少し苦しそうな声。

「ねねは、私に抱かれたくて、こうしてるって。今だけ、は……」

(……叔父様……?)

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