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私の中のおっさん
第1章 巨人女から 叔父様との関係を強要されて――

「いやんっ 叔父様、イケメンだし超モテるでしょう? ってことは、セックスも数熟してて、上手そう~~❤」

「まさか。もう34歳ですよ。私はこのまま、独り身でいいです」

 のらりくらりと、6歳下の菊の追及をかわす叔父の言葉に、ねねはピクリと反応した。

(叔父様……、結婚しないの? どうして? 結婚願望、無いのかしら?)

「うぇ!? もったいな~いっ こんなイケメンが! くぅう~~っ! 等身大だったら、一度お手合わせ願いたかったぁ~~っ!!」

 心底悔しそうに呻き、ぐわっと日本酒を煽る菊を、叔父は「はは」と笑っていた。

 それはそうと、この部屋。

 ずいぶんと酒臭い。

 あと、菊が動くと風が起こるので、あんまり暴れないで欲しいものだ。

 こんな ありえない状況にも、少々慣れてきて。

 わたくしは両掌で耳を塞ぎながら、2人に背を向ける格好で、ティッシュボックスにセーラー服の背を預けていた。

「あ、そっか」

 ぽんと、両手を打って何かを思いついたらしい菊に、

「どうしました?」

 叔父は(首が痛そうだが、頑張って上を仰ぎながら)問い掛ける。

「2人でシテみてよ?」

「……はい……?」

「だってさあ~。あいつが下手糞だったのか、それともあたしが駄目なのか、判断つかないんだもんっ」

 ぶすう という効果音が相応しい、不貞腐れた表情を浮かべる菊。

「そんな……。では、早く新しいお相手を見つけて、自分でされればいいのでは?」

 猫撫で声で、酔っ払い女を窘める叔父。

「やだやだっ! 人の見てみたいっ セックスしてるとこ、AVなんかの作りもんじゃなく、生で見てみたい~~っ!!」

(な……、何てこと言うのっ この人……?)

 ずっと女子高育ちで箱入り娘の わたくしは、菊の発言に驚嘆し。

 ついつい耳を押さえていた両手を、下してしまった。

「な、何言ってるんです……? 私と ねねは、叔父と姪だと、言っているではありませんか?」

 いつも冷静な叔父も、流石にこの女には戸惑っているらしい。

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