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第4章 クレアの目醒

バーテンダーがクレアに水割りを出し、自分はペットボトルの水をぐいっと飲んだ。

「面白い夫婦ですよね？」バーテンダーは言った。

「そうね、思い出したら笑える。」クレアは小さく笑った。そしてバーテンダーも笑い始めた。

「ごちそう様でした。」時間もだいぶ遅くなり、クレアは財布を出した。

「大丈夫ですよ。先ほどのご夫妻からいただいてますから。」バーテンダーは慌てて言った。

「でも私あのご夫妻の名前も知らないのに…」
クレアは少し困った顔になり、それはまるで純真は少女が初めて来た街で道に迷ったかんじになりとても可愛らしかった。

バーテンダーは大丈夫だからといい、優しくクレアを送り出した。クレアは夜中の裏通りから表通りに出てタクシーに手を上げ家路についた。

タクシーの中ではラジオの音楽が流れていた。
昔に聞いた事がある。微かな記憶があるそれは70年代のオールディーズ。
それは今のクレアには心地よく感じ、気がつけば音楽を口ずさんでいた。
数時間前にはラジオの音楽に爆発し運転手に暴言を吐いた事が嘘のようである。

ふとクレアは視線を感じた…

タクシーの運転手がバックミラーでチラチラとクレアを見ていた。クレアはバックミラーに映る運転手に微笑んだ。運転手は慌てて視線をそらす。
「運転手さん私の顔に何かついてる？」イタズラっぽくクレアは話しかけた。
「いや…お客様があまりに綺麗で…なんか幸せそうに見えて…」
「ふふふ…そうね。私見た目には自身あるから！なんちゃって！」クレアは戯けた。

クレアはドアにもたれ、行儀悪く足を組み、ヒザまであるスカートの裾を少し上げ、太ももを露出した。

運転手は慌てて前を見据える。

「男ってみーーんなそう！」運転手はミラーを上に上げクレアを見えないよいにして運転に集中した。

クレアは車窓に描き出される街の風景を見てながら、先ほどのご夫妻の話しを思い出し、そして心の中に芽生えた感情…

【誰かを管理してみたい…】

漠然とではあるが【誰かを管理してみたい…】

誰かって？村田？山下？
それはまだわからない。
しかしクレアは【誰かを管理してみたい…】
そんな欲望にかられた。