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第6章 共謀

「あ、あと計算が終わったらプレゼンの計画が…あ、ありますので…そ、それ、それ…」
山下の声は震えた。

「なに？はっきり言って！」
「プレゼンの計画があるので、ご、ご、ゴキャクニンしてクダシャリマセ…」
クレアは呆れ、笑ってしまった。

「はい。はい。わかりました。」
山下も笑ってしまった。

「お前が笑うなよ。バカじゃないの？変態が…」
クレアは山下を睨んだ。

【やっぱり昨日の事は許してもらえてない…】
山下の顔は引きつりこわばる。許すどころか何かあるのか？クレアの復讐に山下は怯えた。
【何かある。昨日までのクレアじゃない。】
張り詰めた空気、凛とした静寂。
レンタル会議室の中は嵐の前の静けさであり、クレアと山下はお互いがその静寂を意識した。


山下が全ての計算を終えた時だった。
ガチャっとドアが開いた。リサが顔を覗かせ中を見た。
「あっ！クレア、入って大丈夫？」
「リサお疲れ！大丈夫だよ！」
クレアは微笑んだ。山下はクレアのプライベート的な顔を見るのは初めてで新鮮に思えた。

しかし次の瞬間リサが山下を奈落の底に突き落とす。

「この人だ！土下座君！」

リサが山下を見て言った。

【頼む…もう許してくれ…お願いだ…】
すがるように山下はクレアを見た。
クレアは山下を無視してリサに言った。

「さっきこいつノックもしないで入って来るから着替えてるの見られちゃった！」
クレアは山下を睨み、山下は下を見るしかできない。

「ダメじゃん土下座君！ノックぐらいしないと」
リサは山下に諭すように言った。
「もう一回土下座したら。私、土下座見てみたい」
リサは意地悪くクレアに提案した。

【頼む…もう本当に許してくれ…】
山下はクレアに縋るように見てクレアより先に口を開き言った。

「ごめん。本当に悪かった。だからもう許してくれ…」

「私の裸見たよね？昨日の土下座は痴漢した事。今日の土下座はのぞきをした事。それでいいんじゃない？」
クレアは小悪魔のように言った。

「そ、そんな…の、の、の…のぞきだなんて…」
山下は言った。

「やれよ。土下座。」クレアは言った。

クレアとリサは椅子に座り、二人で共謀して山下を追い詰め楽しんでいた。

【この人は誰？会社の人じゃ…会社の人だったらもう会社にばれてる…ばれてない方にかけるしかない…】山下は立ち上がった。