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第6章 共謀

山下はクレアとリサの前に立った。
「はい！前習え！」リサは大きな声で言った。
「前習えだよ！知らないの？」
小学生が列を作る時にやる姿勢…わかってはいた。
「早く！前習え！」リサがまた大きな声で言った。
「いいよ。できないんだって！じゃあしょうがないね山下さん。短い間でしたがお世話になりました。行こうリサ！」クレアが立ち上がった。そしてリサも立ち上がった。

「じゃあ敗者復活戦ね！前習え！」
リサは言った。

山下は目をつぶり両手を前に上げた。屈辱感…知らない若い女、仕事上立場が上の若い女に与えられた屈辱感は山下にはある種の快感でもあった。

「やればできるじゃん！」
リサは喜び、クレアも笑った。
「はい！じゃあ土下座！」
リサは言った。

山下は床に手をつきクレアを見ながら言った。
「本当に申し訳ありませんでした。」

またシャッターの音が、クレアとリサの二台の携帯電話で撮られている。

「はい。もういいよ。山下さん。仕事に戻って！」
クレアは言った。リサは携帯電話を見てニタニタしている。私は立ち上がった。

「ちょっと待って！」リサが急に立ち上がり言った。

「土下座君勃起してない？」
山下は慌てて背を丸め、両手で股間を隠した。
「そ、そ、そんな事ありません！し、してないです。」

「じゃあちょっと見せてよ！」
リサが無理やり山下の手をどけようとした。
山下は腰をくねりリサをかわした。
「ちょ…ちょっとやめろって！」
山下は強い口調でリサを制止、リサの手を振り払った。

「ちょっと痛い！」リサが言い山下の動きが止まった。

一瞬の静寂。

「大丈夫？ごめん…」山下はりさに謝りクレアを見た。クレアは黙ってその様子を見ていた。
そして…「リサ大丈夫？」クレアはリサに聞き、リサは「うん。大丈夫…ちょっとビックリしただけ。」

「申し訳ない。とりあえずこれを終わらせます。」

山下は席に着き書類の続きを始めた。リサとクレアも席に着いた。

「帰ろうかなぁーなんかしらけちゃった。」
リサはクレアに言った。リサはクレアが山下にもっと過激なイジメに発展すると期待していたがリサとクレアは意思の疎通がそこまでできてなかった。

リサはクレアを睨んだ。クレアは黙って書類に目を通し、山下はプレゼン用の提案書を書き上げクレアに提出した。

「土下座君！喉乾いっちゃった」