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覚醒
第2章 会議室
クレアは足早にレジから離れ、何気なく週刊誌の見出しを見ていた。
刺激的な活字がクレアの目に飛び込み、その週刊誌を手に取り、読んでみた。
クレアが気になった見出し・・

【通勤途中痴漢で感じた私の告白特集その手口】

実際クレアは通勤途中何度か痴漢に遭遇する事があったが感じてしまうまではなかった。
「痴漢か・・・」ふとつぶやきレジに並ぶ山下を見た。そして週刊誌の記事を目に通し、
元の場所に戻した。


私はクレアの視線を感じることなく一つの衝動にかられていた。
もう一度クレアに触れたい、あの柔らかい感触、もう一度・・

私はレジでの会計を済ませ、クレアのもとへ近づいた。
【大丈夫・・彼女は何も言わない・・】何を根拠に?

私はついに偶然とは言えない手のひらでクレアに触れた・・

心臓が、私の中の血管が、脳が、・・爆発?
僅かな理性と社会の常識、犯罪への自制心、私は一瞬でクレアから手を離した・・・

私の中では何かが騒ぎ立ち溢れかえる満足感。そしてやり遂げた充実感。

その時であった・・クレアの視線を感じた。私もクレアを見た。それは冷たい視線であり、
槍のように鋭く私の中の侵略者達はすでにどこにも姿はなく、私がしてしまった行為に私は怯え、震え、まるで怒られた子犬のように尻尾を丸めて逃げ出したい衝動に駆られた。

先にコンビニを出たのは私だった。

クレアは2歩いや3歩は後ろを歩いていたと思う。
私は足早に会議室に向かった。会議室にたどり着き、クレアさえ何も言わなければ・・

【クレアは何も言わない】

私は私の都合だけ、いや私の好都合だけを考え【大丈夫。もうしないから・・大丈夫】

「山下さん・・・」ふいにクレアに呼ばれ、「はい」私は返事をした。

「山下さんおしりとか触るのやめてもらえます」

「すいません。つい・・もうしないのですいません。」私は謝罪をした。

「故意に触ったんですか?認めるんだ?偶然かと思った。」

私は私の好都合だけで考えていた。謝れば大丈夫。だから即時に故意に触った事を認めたしまった。私は後悔した。それは触ったことへの後悔ではなく、偶然と言えなかった私の機転の悪さへの後悔でであった。

「申し訳ない。本当にすいませんでした」再度私は誤った。









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