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覚醒
第11章 羞恥
「なんか私酔っちゃたみたい…向こうで少しだけ休ませて…」
クレアが隣りの部屋へ行った。

私と妻はさりげなく村田とあおいに馴れ初めを聞いたり、当たり障りのない話しをしていた。

私の脳裏に映画館での村田とあおいのプレーが浮かぶ。
しかしあおいには不思議とふしだらなイメージはなく家庭的、献身的な感じの人だ。
村田はそのギャップに惹かれたのか?
あおいにはクレアに無い何かを持っていた。

夜も更け私はクレアが気になり、そっと部屋を覗いた。
クレアは窓から差す月明かりに浮かび悲しげな顔をして海の方を見ていた…私はその姿があまりに妖艶で何かに取り憑かれ、クレアがクレアでなく見え…
私は恐怖を感じた。

【………】
クレアが何か呟いた。

【大丈夫…】

大丈夫?
クレアが私を見た。
【大丈夫…】

「何が大丈夫?」

「大丈夫…私は大丈夫…」

クレアが私に近づいた。
「大丈夫…私は大丈夫…これは楽しい事…だから私は大丈夫…」

クレアはドアを閉めた。

私はリビングに戻り席に座り村田とあまりの顔を見た。
二人は幸せそうであり、今見たクレアとは比較対象にならない。私達夫婦、村田とあおい…クレアは一人になるとわかっていたらここには来なかっなだろう。
ホームパーティーに一人…あまりのショックと羞恥にクレアは耐え切れなかったのか?

「そろそろ休みますか?」

私達は各々の部屋に戻り休んだ。

「クレアさん…大丈夫かしら?」
「大丈夫だろう…」
「クレアさん強そうなかんじするもんね。」

私達はお酒を飲み過ぎたのか、深い眠りについた。

そして…次の日、クレアはいなくなっていた。

村田は心配そうに何度もクレアに電話していた。
クレアは電話に出ない。

「とりあえず、私達は先に帰ります。クレアさんから連絡があったらすぐ電話します。」

「山下さん申し訳ない…」

私達は別荘を出た。
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