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吼える月
第26章 接近
 
「リュカは黒髪じゃねぇよ。いるんだ、リュカの顔で黒髪の……、生粋の倭陵人が、皇主の三男に……。あんな綺麗な顔立ちが他にもだと? 武闘大会で遠目からだけど皇主や嫡男見たが…リュカと似てもいなかったぞ。突然変異って奴か? ありえるのか、そんなこと…」


 訝しげに目を細めるサクに、祠官が言った。


「私が会ったリュカ殿が黒陵の祠官補佐であるのなら、なぜ地方4国には持ち得ないはずの輝硬石を黒陵は持ち得ているのか。隠匿して守るべき鍵を寄越せということはどういう意味か。そこに蒼陵の滅亡を口にされたために、私達は黒陵ぐるみを思い警戒を抱いた。黒陵の祠官とハン殿と距離が開いているように見えているのも、私達を油断させる演技なのだと」

「……親父が演技できるように思うか?」

「だからだ。もし黒陵を背負うリュカ殿の意見を退け、鍵を渡さないとするならば、いずれかはハン殿が祠官の命をうけて蒼陵に来よう。ハン殿は忠義に篤いとジウから聞いている。

同じく蒼陵の滅亡と輝硬石、そして鍵のことを口にしているのなら、黒陵が滅ぶことも同時に口にして、鍵を守れといった…スンユ殿の案をとることにした」


 女神ジョウガの箱を開く鍵は、4つあるとゲイは言った。

 そのひとつ玄武の鍵は、胎内に隠されているという理由で、ユウナは犯されたのだ。


 父の骸の前で、動けない自分の前で――、

 その純潔が散らされたのだ。


 鍵のために、リュカは自らのユウナへの想いを壊した。

 ユウナを大切にすると誓った、あの約束を反故にして。


 そこまで価値のあるものなのか、その禁忌の箱というものは。


 サクは願いを叶えるというその箱に魅力は感じなかった。

 ただ忌ま忌ましさを刻みつけるものとしか思えない。


 そしてリュカは青龍の鍵を狙って、打診してきた――。
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