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吼える月
第26章 接近

「あなた達がリュカの案を蹴ったということは、まだ青龍の鍵はあるということか?」
「左様。蒼陵で一番わかりにくい場所にある」
そう答えたのはジウだ。
「もしその鍵が世に現れるとならば、私はこの世にはいない」
それは、世に出ないようにジウが死守するということだろうか。
倭陵で最強のハンはもういない。ならば現実、ジウが最強ということになる。そのジウが命をかけて守り抜くというのなら、鍵は渡らない可能性が強くは思えるが、なにせ玄武の鍵を奪ったゲイの強さは桁外れだ。
「ジウ殿。……玄武の鍵を奪った金色の男は、生半可な相手じゃねぇぞ。俺の四肢を、遠隔で簡単に砕いた。……もしかしたら親父以上かも知れねぇ」
ジウの表情が険しくなる。
「だったら、まさかハン殿を殺したのは……っ」
「……の、可能性がある。親父の最期は見てねぇけれど」
重い沈黙が流れた。
それを破ったのは、沈黙を作ったサクだった。
「で、スンユの案をとって、方法はさておき、その"真"の輝硬石を作ったと?」
「そうだ」
「おいテオン。お前上の青龍殿の床の輝硬石、スンユからのものだと言ってたよな。話違わねぇか?」
テオンに話を振ると、テオンは神妙な顔で考え込んでいた。
「それ、今僕も思っていたけど…。僕は確かに見たんだよ、大量に運び込まれた輝硬石の荷台の前で、スンユからと話している中央からの使者と、スンユ様によろしくと言っているヒソクを」

