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吼える月
第26章 接近
 


「ヒソク殿……って」


 それはいつも武闘大会に出場はしているが、初戦敗退ばかりのジウの息子であり、それでも次期青龍の武神将確定としてその名は広まっている。

 武術は弱いが、頭は……いいという噂もサクは聞いたことはなかった。短絡的でよくトラブルを起こしては、ジウが困っているようなことをハンからも聞いたことがある。

 今の今までヒソクの名はおろか顔すら思い浮かべていなかったサクは、改めてこの場にヒソクがいないことを不安に思う。


「じゃあなんだ、ジウ殿達はスンユの案をとったのに、ヒソク殿が勝手に暴走してリュカと……じゃねぇぞ、おい! なんでヒソク殿が、輝硬石を持つリュカをスンユと呼ぶんだ?」


 そこから思い浮かぶ、ひとつの仮説。

 同じ顔。違う髪型。そして――。


「足は? 足は引き摺っていなかったか?」


 サクは堅い声質で祠官に尋ねた。祠官は――。


「引き摺っていなかった」


 だが、リュカは足が悪いフリをしていたのだ。

 本当は一年前から普通に歩いているのかもしれない。



「……サク殿」


 真剣な表情でジウが言った。


「私が会ったスンユ殿は、歩いていたが……、片足を引き摺るような歩き方だった。だから足をどうしたのかと聞くと、ちょっと挫いたと言っていた」

 武官の目は誤魔化せない。それがハンも認める武神将でなれば殊更。

 その頃から、リュカは歩けていたのだとしたら――。
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