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吼える月
第26章 接近
 

「だったらだったら!! 上の輝硬石は、スンユから持ち込まれたものではなく、蒼陵が開発した独自のものっていうこと? お兄さんの力も奪うような」

「そうだ」


 祠官が深く頷いた。


「"真"なる輝硬石は、どんな力にも勝る。すべてを飲み込み守る……大地の龍の如く」


 祠官がまっすぐとテオンを見つめた時だ。


「あ……」


 テオンが、目を忙しく動かして呟いたのは。


「それ、だ。わかった…。思い出したよ、お兄さん……。"真"とされる輝硬石……、なんで青龍の加護がなくなったのか、なんでここに青龍殿を移したのか、なんで大人達が連れられて、子供と老人だけ残されたのか……」


 そしてテオンは祠官を見た。


「父様に質問があります」


 その小さな唇は戦慄いていた。



「"汝、子を守る強き盾にならんや?"」
 
 

 息子の問いに、祠官は答えた。



「……我ら、子を守る強き盾にならん」


 テオンは静かに涙を流した。

 
「"我ら"ということは、それは皆も納得の上のことなんですか?」

「そうだ。じっくりと考えさせた。その上で出た結論なのだ。無論、異議を唱える者もいる。それらが外の街の者だ。いずれ迎える準備の役目がある」

「青龍殿を移動させたのは、この地で"回復"をさせるため?」

「左様」

「あと、釈然としないことが……」


「テオン、頼む。俺にも分かるように説明してくれ。俺は釈然としないことだらけだ。なんとか、なんとか俺の頭でここまでこれたのに、一気に話がわからなくなった」


「お兄さん…」

「テオン……」


 ふたりは切なそうに見つめ合い、それを見ている祠官とジウが苦笑する。


「お兄さんが武神将なら、"神獣縁起"は読んでいるよね?」

「知らん」


 即答だった。


「は!? 神獣とはどんなものか、お兄さん玄武の知識ないの!?」

「俺の知識は読むものではなく、親父の受け売りか、玄武本人から直接聞いたものだけだが」

「はい!? 玄武本人から直接聞いたってなに!?」


 テオンの声が上擦った。祠官とジウはぎょっとしたように目を見開いて、サクを見ている。
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