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吼える月
第26章 接近
 
 今、ユウナにすべての命がかかっている。

 後ろから横から……、真摯に向けられる眼差しの強さは、以前の比ではない。それらはすべて、ユウナが抱えねばならない命の重みでもある。

 それをずっしりと感じたユウナは、さらに卒倒しそうになりながらも、気力を振り絞り、具体的な策をイタチに尋ねる。


"あたしは、どうすればいいの?"


 銀髪と耳飾りが風に揺らし、ユウナの"襟巻き"は寒そうに僅かに身じろぎしてユウナの心で言った。


"では参るか"


 イタチのかけ声に反応して、ユウナの一部が青白く発光した。

 上を向いていても分かるその青い光は、サクの身体から発せられていた光と似ている…と、反射的に白目を戻して発光源…耳もとに目を向ける。

 発光しているのは、サクが残した白い牙の耳飾りからだった。

 それに驚くと同時に、耳朶が異様に熱くなる。そしてその熱が、次第に体内を巡るようになって、ユウナは狼狽した。


"イタ公ちゃん、あたしの耳、耳飾りからなにかが、あたしの身体に……、なに? なんなの?"


"案ずるな。小僧が…無意識に姫の牙に残したその力は、姫が感知できぬほど圧縮されたもの。今それを解放し、それを使えるまでに媒介とする姫の身体に、気を巡らしておる"

 ユウナにとってはイタチの言葉は難しすぎた。


"え? え?"


"この姿では思うように力が使えぬゆえに、姫の中から小僧の"想い"を使わして貰う。よし、姫。体調は大丈夫か?"

"え、ええ…。平気だけれど……"

"初でそれはなにより。小僧はもがき苦しんでいたからな。まあ小僧は特殊体質なれど、姫の負担がなかったのは、姫の身体に馴染んだ小僧の残滓のおかげか。まったく、どこまで強く残滓に"想い"を混ぜて、擦りつけたものやら"


"はい?"


 サクがいたら真っ赤になって怒り出しそうなことを、やれやれと肩を竦めるようにしてイタチは口にしたが、ユウナには"残滓"の意味するところがわからず、疑問だけに留める。


"ではこう言うのだ。これより……"

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