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吼える月
第26章 接近
「ユウナ、手を!!」
「シバ答えて、想起して!! 海はあなたにとってなに!?」
「オレにとって海は――」
シバは苦しそうな顔をしながら、手を伸ばして怒鳴った。
「守りたいものを包むものだ!!
海は、誰をも死なすものであってはならない!!」
シバの必死さに、今度はユウナにしがみついているイタチが問うた。
「その包容力によって、汝なにを守るのか!!」
海面にユウナの影が映って揺れる。
もう少しでユウナの身体が海に沈む――。
「"なに"なんて限定しない。
オレはただ、誰をも泣かせたくないだけだ――っ!!」
途端、イタチの声が変わった。
「開眼」
轟くような低い声で――。