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吼える月
第26章 接近

 
 シバの手がユウナを掴み、ユウナの身体を抱き寄せた直後、シバとユウナとイタチの身体から、同時に光が放たれた。


 ユウナとシバの視界が青く染まる。


「眩しい……イタ公ちゃん、なに……」

「案ずるな。少々……シバの中からの青龍の力を目覚めさせたゆえに」


 その声は艶めいたイタチの声に戻っていた。

 その言葉に驚いた声を上げたのはシバ。


「は!?」


「青龍は海の神ではあらぬ。川としていつも民の身近におることを好むが、元々は大地の神」


 イタチは、シバの頭の上に乗った。



「その青龍の心を抱くものだ、その力の開眼をこの玄武が司った」

「力……!?」


「そう、なぜ水の気配がなく立っておられるのか気づいたか、姫」

「この光のおかげ?」


「否。神獣は光に存在しているのではない。すべての力は女神ジョウガが作りし自然の中に。

我は水。ゆえに、水を想起した汝らは我。そして我が認めし青龍の心を受けるもの、シバの力により、水は……敵を寄せ付けぬ壁となる」



 光が消えた。



「え?」

「これは……っ!?」



 光が消えた視界。


 それは海の中の景色だった。
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