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吼える月
第27章 再来
「ドチビ、お前幾つだ」
「これくらい」
「ほう、指一本ね……。随分と若いな、お前」
「うん!! サクちゃんはこれくらい?」
「ほほう、お前両手で二桁の表現が出来ることは褒めてやる。だが、なんで十二だ!? 俺がそんなガキに見えるのか!!」
「賢そう? あの子」
「……多分、きっと……恐らく…」
「俺のどこが12歳に……」
「ユウナちゃんお嫁さんにできない年月」
「……おう、お前聡いな…って、おいこらチビ、どこでそんなことを知った!? お前デコ出せ!! 指弾きしてやる!!」
「いやあああん、きゃははははは!!」
「あんな子にもからかわれているんだ、お兄さん……。玄武の国の武神将、なのにね……」
「………」
ユエの声とサクがぴたりと動きをとめた。
ふたりの視線は海に向かっている。
「どうしたんだろう…。海……? ん…?」
テオンは目を擦ってから、またじっと海を見下ろす。
「今は夜じゃないのに、随分と海が昏く見えない? あっちの方」
それは【海吾】の居る砦の方向だった。
哀切な笛の音が響く。
笛を吹いているのは、ユエだった。