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吼える月
第27章 再来
そこに偽りのなさを感じたサクは、ある仮説をたて、ジウの返答を聞いたテオンは、慌てて足りぬ名を追加しようとする。
「父様は!?」
「……知りませぬ」
「だけどヒソクも知っているよね? 彼を経由してスンユも。もしかしてスンユとゲイが繋がっていたら、ゲイも……」
「テオン、ゲイがそれを知ることはねぇ。わかっていたら、こんな手間のかかることをせずに、一気に乗り込むさ」
「だったら現在、鍵の在処を知るのはジウとヒソクとスンユの三人?」
「……と、テオンが訊いているが、どうなんだ? あなたはヒソク殿に、真実を伝えていたのか?」
「え?」
サクの射るような視線から目をそらし、そしてジウは言う。
「鍵の在処を知るのは、私ただひとりです、テオン様」
ジウは観念したように項垂れた。
「え? えええ!? じゃあヒソクもスンユも、間違った情報を真実と思い込んでいるっていうこと?」
「……恐らくは。私が口にしない限りは、正解がないゆえに。さらに言えば、ヒソクは少し浅慮なところがあるゆえに、武神将を譲り武神将の自覚が出るまでは、真実の場所は伝えられなかったのです。ただ、青龍の鍵という特殊なものが存在して、守らねばならないことを伝えられればよいと。
万が一に備えて、"蒼陵の中で、一番わからない場所"と伝えました。ヒソクは、海の中にあると思っていたようですが。まさか、代々場所を変えて護り続けた青龍の鍵が、後々問題になってくるとは露知らず」
ジウの言葉を受けて、サクが軽く笑った。
「そんなことだろうと思った。幾ら息子で次期武神将だとしても、実直なあなたがそんな大切なものは容易に口にしない。つまりヒソク殿が輝硬石を手に入れるために流した情報は、信憑性がないと思われた。だったら、やはりそのツケとして、ヒソク殿は"使われている"気がするな」
ジウの目が大きく見開いた。