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吼える月
第27章 再来
同時に、驚く警備兵の低い雄叫びを切り裂くように、悲鳴のようなテオンの声が響き渡った。
「お兄さん、なにやってるんだよ!! お兄さん、それだったらお兄さんが皆を……えええええ!?」
直後に同じ場所に放たれる、金色の光。
「うわ、うわあああ、ゲイからも!?」
サクの力を浴びた…イタチとシバの合作である水の壁は、瞬時にサクの身長を遙かに超えるさらに高い壁となり、一気に勢いと強度をぶわりと増した。同時期に水の壁に行き着こうとしていた金色の光は、
「えええええ!?」
「弾け――っ!!」
変化の勢いに押されるようにして、軌道を横にそらした。
ドッガーン。
数艘の船が壊されると、弾薬でも積んでいたのか派手に燃え上がり、隣の船に火が引火してまた爆発する。それであっと言う間に三分の一の船は消失した。
「お~、思った以上にすげぇ。さすがのゲイも、そっちに気を取られているようだ。今のうちに……」
サクは水壁の真横に鷹を飛ばして、水壁を通して中を覗く。
そこには爆破を見ている後ろ向きの子供達、そして――。
「姫様……っ!!」
思わず漏らしたその声に反応するように、銀色の短い髪の少女が、サクに振り向いた。
それはイタチを手に抱えた、無事なユウナの姿だった。