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吼える月
第27章 再来
 

 ユウナは唇を噛みしめた。


 ここまで、必死に来たのに。必死に生きてきたのに。


 こんなところで死ぬなんて。

 サクと会えないままに死ぬなんて。


 金色の男に犯されて、何度も死にたいと思った。

 その都度サクは、怒鳴って泣いて、それでも生きろと言った。


 サクが一緒にいられるのなら、生きられると思った。

 サクに対して、恋愛感情を抱いていたことを自覚した今、生きることがサクとの未来に繋がった。サクと笑顔でいられる未来を、自分が作りたいと――。

 ようやくみつけた、自分の生きる理由。


 それを全て無くして、自分は死んでしまうのか。

 子供達を護れず、ただの無力な小娘のままに。

 サクに想いを伝えられないままに。



「――ユウナ、護れずにすまない」


 涙が混じったような、シバの悲痛な声が聞こえた。

 子供達の視界を塞ぐように無防備にゲイに背を向けたシバは、子供達を両手に集めながら、ユウナに、瞳を揺らしながら悲しそうに微笑んだ。


「俺は、子供達と共に――」 



 生きたい。

 生き抜きたい。


 そう思うのは、自分だけではない。

 シバだって、子供達だって、生きたいのは同じ。

 その者達の命を奪う権利は、誰にもないのだ。

 ……神獣すらも。
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