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吼える月
第27章 再来
「うわああああ、光が来た――っ!!」
「兄貴、兄貴来たよっ!!」
子供達の騒ぐ声。
シバがぐっと眉間に力を入れるようにして目を瞑る。
「神獣玄武、我の祈り……聞き遂げたまえ!!」
「……今だ、思いきり、我の力をっ!!」
ユウナの声とイタチの声が重なった時、ゲイの姿を鮮明に写していた薄い水の壁が、突如水飛沫を上げて勢い良く上向きに伸びる。
その凄まじさに誰もが息を飲んでそれを見つめていた。
「あれ……?」
「金色の光は……?」
「兄貴はまだ寝てる。だったら、え? 僕達助かったの?」
衝撃がなにもない。"そのまま"が続いている。
それなのに、ドカーンドカーンとなにかが爆発するような音が聞こえた。
ユウナの手の中のイタチがのそりと動く。
……背後から、声がした――。
「姫様……」
ここにはいるはずのない、会いたくてたまらなかったひとの声。
まさか。
いやでも……。
そしてユウナは振り返る。
水の壁が映し出したのは、間違いなく――、
「……間一髪で間に合いました……。ご無事ですか?」
一番会いたかった……サクだった。